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COLUMN~コラム~

オスピス・ド・ボーヌ

【~ワインが慈善事業に!?オスピス・ド・ボーヌ“栄光の3日間”~】

皆さん、こんばんは。井上ワイナリー広報担当の石関華子です。

今日は待ちに待ったボージョレ・ヌーヴォー解禁日ですね!

そこで、今回のコラムでは、その産地であるフランスのブルゴーニュ地方で今週末に開催されるワインの一大イベント、オスピス・ド・ボーヌの「栄光の3日間」についてお話したいと思います。

 

話は15世紀に遡ります。

現在のブルゴーニュ地方は、当時ブルゴーニュ公国の厳しい統治下にあり、病気になっても病院に行けないような貧しい人々で溢れかえっていました。

それを見かねた財務長官のニコラ・ローラン氏とその妻は、1443年、ボーヌという街に施療院「オスピス・ド・ボーヌ」を設立しました。そして、彼らが所有していたブドウ畑を施療院に寄付し、そこで造られたワインを売って得た利益を運営資金にまわすことで、無料で医療サービスを受けられるようにしたのです。

こうして多くの人々が救われることとなり、これに感銘を受けたワイン生産者や畑の所有者達も、次々と畑を寄進するようになりました。

 

こうしてたくさんのブドウ畑を所有するようになったオスピス・ド・ボーヌ。

1853年からは、そこで造られたワインがオークション形式で販売されるようになりました。

その落札金はもちろん、オスピス・ド・ボーヌの運営資金や慈善事業にまわされています。

オークションは毎年11月の第3日曜日に開催されるのですが、前日と翌日にも試飲会などのイベントが催されています。このワイン漬けの3日間が、「栄光の3日間」と呼ばれています。

 

実際に2012年にこのオークションに参加した、吉良祝人氏に話を聞くことができました。

オークション会場に入場するにはチケットが必要で、日本人が入手するのはかなり難しいようです。吉良氏の場合、幸運にもお知り合いの方からチケットを譲ってもらえたということでした。

会場(写真上)は何百人という人で熱気を帯び、中にはかつての大統領・シラク氏の奥様やフランス人女優など、有名人もちらほら

オークションに参加する人達は、前日の試飲会(写真中央)で試飲をして、どのワインを落札するか検討するのだとか。

1樽単位(ボトルに換算すると約300本分!)で落札するので、よく吟味する必要があるわけですね。

お目当てのものを2樽落札した吉良氏は、そのワインを高知県内の飲食店などに頒布したそうです。

もしかしたら、実は皆さんもどこかでそのワインを飲んでいて、知らず知らずのうちに慈善事業に貢献していたかもしれないですね!

 

ワインを飲むことで社会貢献できるなんて、ワイン愛好家にはとても嬉しい話なのではないでしょうか。

 

それでは今日はこのへんで。また来週!

 

 

※Special Thanks/画像提供

吉良祝人(きら・のりと)さん

1979年生まれ。高知市出身。神職。

高知県内におけるワインの普及活動が評価され、2012年にクージヌリ・ド・ブルゴーニュ(「ブルゴーニュのいとこ」の意)に叙任。(写真下)

2015年には、最年少(当時36歳)で日本ソムリエ協会のソムリエ・ドヌール(名誉ソムリエ)に就任している。

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